Ancient future

vol.09【リズム】Written by Shiryu



 前回、「断続音+雑音=連続音として聞こえる」という話にあてはめる関係上「雑
音」扱いしてしまったリズムだが(リズムさんゴメンよ)、もちろんただのノイズで
はありません。
 倍音の森を彷徨い入り口に戻ってきてしまいましたので(笑)、ハンドドラム
(TAR)を奏でる上で、避けて通れない、リズムに関して少し見てみましょう。
 ハンドドラムに興味を持っていながら躊躇している人で「リズム感がないからぁ」
という方がいますが、そういう人に紫龍はこう言ってます「大丈夫。みんな生まれな
がらにリズムのプロだから」と。
「え?」と言う反応が返ってきます。
「心臓動いてますよね、呼吸してますよね!」
「はぁ」
「生まれる前から、お母さんの胎内でお母さんの心臓のリズム、血流のリズム、呼吸
のリズムを聴いて、自らも心臓のリズムを刻み、生まれてからは呼吸のリズムを刻ん
できたんだから! 大丈夫です。しかも同調化という機能も持っているから」
 同調化というのは、1665年、オランダの科学者クリスチャン・ホイヘンスが発見し
た法則です。二つの振り子を隣同志において一定の時間が経つと、振り子はまったく
同調して振れるようになる、というもの。
 私たちの身体も例外ではなく、知らないうちに様々なものと同調化を起こしている
のです。
 身近な例は、音楽を聴きながら指や足などで調子をとることでしょう。音楽療法士
や神経学者の中には、この同調化を「人は、その場で支配的なリズムに同調する」
「ある運動系の周期は、ほかの運動系の周期に決定される」と説明する人もいます。 
「違うリズムを刻むことの方が難しいんだよ」という話を、そんな説明を交えてして
います。

 先ほど基本的なリズムとしての心肺機能をあげましたが、鼓動は毎分60〜80回、呼
吸はその約1/4の速さで繰り返されています。このリズムを私たちの中枢神経はモニ
タリングしながら中脳に送っているのです。
 激しいスポーツの後や病気中などにこれらのリズムについて気づくことがあります
が、普段はあまり意識せずに過ごしていることでしょう。それが、ましてや地球や太
陽や宇宙そのもののリズムの影響を受けているなどとはほとんど意識することがない
でしょう。
 ヨアキム・エルンスト・ブレント(ジャズ歴史家(独))はその著作『ナーダ・ブ
ラーマ--世界は音』の中で、基本的な物質について唯一確実にいえるのはそれが振動
しているということであり、すべての振動は理論的には音であるので、宇宙は音楽で
あり、そのように認識すべきものである、という説をとなえているそうです。
 なるほど、私たちの住む地球は太陽の周りを365日で一周し、その周りでは月が28
日毎に一回りし、地球そのものは24時間かけて自転しており、それらはリズムであ
り、音楽であると考えられます。
 宇宙のサイクルと私たちの身体のサイクルは直接的に関わりがあり、その典型は昼
夜24時間というサイクルです。地球上の生命現象にとって光と闇というサイクルは基
本となるものです。人間の体内時計はもともと一日25時間、これは月の影響を受ける
潮の干満のリズムつまり一日24.8時間だとも、昔の地球の自転の速度ともいわれてい
ます。それを毎日太陽の光を見ることによって24時間にリセットしながら生きている
といいます。光と闇による目に見えやすい活動と休息のパターン以外に、体温、血
圧、呼吸、心拍などが毎日の地球の自転の影響を受けています。
 目をミクロのリズムに向けるなら、私たちの体の原子や分子も振動しリズムをきざ
んでいます。マクロのリズムに目を向ければ、私たちの住む太陽系は銀河系の中を2億
4,000万年という気のとおくなるようなリズムで一週しています。様々なリズムが存
在しそれらは関係しあいながらシンフォニーを奏でているのです。
 『ドラミング〜リズムで癒す心とからだ』(ロバート・L・フリードマン(心理療法
士)著)にのなかでレイン・レッドモンド(『ドラマーが女性であった時代』の著者
で、フレームドラム奏者)の言葉を紹介しており、同調化の関係でこんな事が書かれ
ています。脳は通 常、右半球と左半球は違う種類の脳波(アルファ波・ベータ波・
シータ波・デルタ波)を出しながら、30分〜3時間交代で中心となって働いているそ
うです。たまたま同じ種の脳波(たとえばベータ波)が出ている場合でも、周波数が
微妙に異なったり(ベータ波の周波数は14〜40サイクル)、ずれたりしています。と
ころが、ある特定のリズムを聞いている時、両脳半球がぴったり同じタイミングでパ
ルスを出す場合があり、そのあいだ意識はいわゆる覚醒状態に入ります。覚醒状態の
脳は左右両方の脳半球から情報を引き出すことができるため、急に何かの解決策が浮
かんだり、頭がクリアに感じられたり、至福感が訪れたりするそうです。 

 続きは次回。

(9/22/2004)


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